いい子でいさせて

お花畑からお送りします

刀ミュ 静かの海のパライソ~東京凱旋公演感想

こんにちは、れいとうです。

先日やっと現地で静かの海のパライソを観劇してきました。今回は先に配信で観させてもらっていたのですが、やっぱり現地で観ると情報量がすごい!圧も熱量もすごくって、満足度が半端なかったです。

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今までの刀ミュの中でも重いシナリオだと事前に察してはいたのですが、実際ちょっと辛かったです。ただ、重いテーマでも後味が悪いまま終わる、ということがないのが刀ミュらしい良いところだなあとも思いました。

以下感想です。

1部

やっぱり島原の乱キリシタン関係か…と序盤で頭抱えそうになった。絶対に重い。M1からもう不穏さたっぷりなのですが、曲がめっちゃ好き…!ミュージカルらしいナンバーでもありますね。すごくお気に入り。あと巷でインフェルノと言われていた理由が分かる。ここの民衆たちの早替えも見どころかもしれない?

民が蜂起した戦ということで、今回は時間遡行軍との戦いというよりも、民と戦と、それに関わる刀剣男士という物語だったと思います。本編における時間遡行軍の登場が序盤にしかなくて、これは紛れもなく現実そのままの物語、時間遡行軍が関与する必要のない物語なんだ…というのを突き付けられて苦しかったです。電子チラシにもあった『これが彼らの日常、これが彼らの戦い』という一文がまた刺さる。刀剣男士という「役割」を私たち審神者(観客)も改めて実感させられた話でもあったと思います。

そして1部は総じて鶴丸切れ者感がすごかったのと大倶利伽羅がかっこよかったです。というか鶴丸は今回キャラも役者も負担が大きくて大変そうでしたね…。大倶利伽羅がいてくれて本当に良かったと思う。大倶利伽羅初のソロ曲も、そんな彼を支える内容であり、でも自分が進む道をしっかりと示した曲でかっこよかったです。というかスモーク盛り盛りで出てくるのはズルい!刀を振りかざす度に靄が斬れていくのも良い。個人的に大倶利伽羅の殺陣がすごく好きなんですよね。一撃の踏み込みと重さが好き。重さというとまた三百年の子守唄を思い出して胸が詰まる気持ちになりますが…。みほとせといえば石切丸の話題も出ていましたね。どちらの物語でも、農民だとかに近い位置にいる大倶利伽羅がまたなんとも…。今までの出陣で得たものは彼の中でしっかりと息づいているんだなあと嬉しく思う反面、ずっとそれを抱えて生きなきゃいけないのはつらいなあとも思ったり。でもそうして流れた血から学ぶしかない、考え続けることが大事…というアンサーも劇中でくれるところが刀ミュらしい優しさなのかもしれない。

印象に残ったのはやっぱり鶴丸の「単純な暴力に頼った時点で間違いだろ!」という台詞(台詞細かいところ間違っていたらすみません…)。舞台は子守唄が聴こえてくるような世を望んだ徳川の時代、ということを踏まえるとさらに効いてくる。戦以外にも道があると示されている(知恵伊豆という存在がいる時点でも)のに、戦を選んでしまった。戦には戦で対抗するしかない…、どうあがいても最悪の結末しか見えない。そんな"やってられない"状況でもやるしかないのが刀剣男士。時間遡行軍を倒すのではなくて、あくまでも歴史を守ることが任務。刀ミュ新章で改めて突き付けられる事実。比較的若い刀である浦島と、本丸にやってきて間もない松井江が古参の鶴丸に言われるというのが上手いなあと思いました。

あと個人的に上手いと思ったのは、兄がおっかあは一揆に加わらなかったから殺された、俺たちはまだ生きていかなきゃいけない、みたいなことを苦し気に吐き出した後の話の流れです。一揆に加わらなかったらどうなる?ということを実際に再現するかのような流れ。暴徒と化していく民衆の狂気さが…。あと今回すごい生首率が高い。

心覚に引き続き「境界線」が出てくる曲もありましたね。花(これはおそらく血)の演出も相まって心覚を思い出した方もいるのかな、と思った場面。個人的には葵咲本紀の正義の話/線引きの話→パライソだと思っているので、今回この順番で観れなかったことが本当に惜しく感じる場面でもありました。同時に、心覚に続いている!ともとらえることができる場面でもあるのはすごいなあと思いました。境界線の引き方を教えてくれる人はどこにもいなくて、たぶんきっと自分の中で引くしかないのかな、と考えている。

衣服も血や泥にまみれてボロボロ、満身創痍の民たちの様子がつらい。わずかな水や食糧を分け与えている姿…特に、親子の姿がつらかった。少しでも娘に多く分け与えようとする母親を見て涙ぐんでいました。兄も弟(小吉)を優先して梅干しを与えているのが…。絶対勝てない戦だってわかっているからこそつらい。もうどうにもできない。動ける人たちを連れて釣りに行く!と言った浦島の後を誰も追いかけてこないもの…。あとここの挿入歌はどういった感情で聞くのが正解なんですか?誰か教えてください…。呆然としながら聞いていました。

松井江に関しては、血にまつわるエピソードがやっぱり良かったなという印象。松井江が初めて人を斬ったあとに客席までバッと赤いライトで照らされる演出がすっごく好きです。1部で客席まで照らされるのはここの場面だけなんじゃないかな?違っていたらすみません。頬を切られた時の血糊の付け方も良かったなあ。あとは終盤の兄が斬られてしまったところでしょうか。ここは痛ましい場面なのだけれど、松井江と周囲の美しさがすごくて…申し訳ないけれど滾った場面でもあります。赤い花びら(血)が散るなかに力なく崩れ落ちる瞬間がすごく良い。そんな松井江ですが、鶴丸と対峙するとき、最終的に暴力(拳で殴る)に頼ってしまったのが皮肉だなあと思いました。何かを話そうとはしていたけれど自分では切り出せず、目で訴えるだけだった松井江。そんな彼が最後梅干しをきっかけに会話をする、というのもまた味がある。

兄が斬られたところですが、ここで知恵伊豆お付きの武士が「もうよい!」と止めに入っているのがいいなと思いました。そしてこの兄が天草四郎として捕らえられたところは本当に…上手いですね…!天草四郎複数人説だったり、もともといないのでは?(これは知恵伊豆も指摘している)という説をここで使ってくるとは…!ちょっと感動してしまった…、あとここであの境界線の曲がBGMで流れているのがズルい。

最後は…葵咲本紀の吾平(信康)の台詞を思い出すような終わりだったなあと個人的に感じました。腹が減るから戦は起きる。あの光景が彼らが目指すべきパライソだと私は思っていないけれど、限りなく理想に近い図なのかなと感じました。

2部

今回の2部曲はすっごく…楽しかったです!!!全体的に落ち着く暇がないというか…ずっとブチ上がったままでしたね!1部の反動でしょうか!?2部冒頭の演出から良い。妖艶な雰囲気で良かったなあ。あとそろそろ冒頭でもペンライトを振らせてほしい!ここは振ってもいいと思う演出なのですが…!全体曲はちょっとしっとり大人っぽいナンバーですが、みんな歌もダンスも上手い方たちなのでもう眼福。今回衣装がすごいふわふわっというか、揺れると綺麗なので見ていてとても楽しいです。

Supernovaは曲調が好き!あとビックバン!が楽しい。いきなりソロ曲を貰える松井江いいな…という気持ちもある。初日配信を観たときよりも数倍上手くなっていてびっくりする。これは皆さんそうなのだけれど…!YSSはもう…すごかったですね!純粋にかっこいい!という気持ちで観ていました。あと豊前江のあの脚の振付が羨ましくて仕方がない。推しにもやってほしい気持ちがあるけど実際にやられたらもうその場で昇天するかもしれないので事前告知の上でやってほしい。お願いします。1部もそうだったけれど、大倶利伽羅豊前江はペアが多いですね?Be Cool!!はかわいいし楽しいし元気になるしペンライトを振るのがとっても楽しい曲でした!最近の刀ミュは縄跳びがお気に入りなんでしょうか?私が観に行ったときは失敗してたのですが、かわいいのでオールオッケーだと思います。

そしてついに来たか、という感じのIn My Groove。これは本当に個人の感覚なんですけれども、三日月のMirageに合わせてきてますか…?どちらにせよすごく好きな曲です。これも楽しい。あとその動きでどうしてそんな安定した声が出せるのか、鶴丸には驚かされてばかりですね…。他の刀とは体の使い方が違う感じがしています。

FreeStyleはもう安定の良さ!音曲祭のときから歌詞がいいなあ、好きだなあと思っていた曲。後半ではハモリも入って気持ちよく聞けました。響きのうつくしい曲だし、1部を観た後だと余計に歌詞が刺さるなあと思いました。

太鼓曲前の剣舞はえもさんなのですが、たぶんこれ…えもさん殺陣が上手すぎて1部ではあまり刀を持たせてもらえなかったのでは…!?と思うくらい。めちゃくちゃ上手いですね!?いやもったいなさすぎる。役的に仕方ないのだけれど…!なんとなく歴代ミュ太鼓曲を彷彿とさせるYUKARI。KIZASHI感もある。「いくぜ!」のところとかすごい楽しかったのでぜひ次の祭でもやってほしいなあという曲。

ラストの歴キャス担当曲は…正直えもさんが歌うのはどうなの?とか思っていたけれど、彼にも彼なりの戦い方があったから…まあ…ということで自分を納得させながら観ていました。アレンジ自体はすごく好き。かっこいいですよね。

回替わりコーナーは、浦島が亀吉の声真似をし始めてかわいかったです。似ているかどうかは…う~ん!どうでしょう!笑。あと豊前江が心覚ハンズクラップをしていました。特にオチは…なかったです!

おわりに

直前の本公演がけっこう特殊な作品だったこともあるかもしれないのだけれど、重い話と聞いていたわりには物語の流れは分かりやすくてストレスを感じることはないし、個人的にはけっこう楽しんで観ることができました。紛れもなく「現実」の話を、こうして誠実に描いてくださったことは本当にすごいことだと思うし、それを受け取ることができた、というのはとても大きい。もともと中止になってしまったということもあり、そうした意味でも観れてよかったなあと思う作品です。

刀ミュカンパニーとしても久々にここまでひと欠けもなく来ている本公演。ラスト宮城公演、最後まで走り切れますように。彼らの辿り着いた景色が良いものであるよう願っております。

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すっかりクリスマスな雰囲気。綺麗でした。

ミュージカル『刀剣乱舞』~静かの海のパライソ~

2021.11.06-07 TOKYO DOME CITY HALL